Chylothorax in Dogs 1 -overview & symptom-
ミューが逝ってしまってから三週間が経とうとしています。
当初の深い悲しみからは、何とか逃れることができました。
代わって頭をもたげてきた感情は、悔しさや救えなかった自分への怒りです。
この種の苦しみは、当分私の心を離れないような気がします。
ミューのことをブログに載せるようになってから、乳び胸をキーワードに、毎日多くの方が訪れてくださいます。
乳び胸の家族を持ち、きっと苦しんでいる方でしょう。
一つでも多くの命が、この憎き疾患から救われることを願ってやみません。
甚だ微力ですが、犬の乳び胸の診断と治療について、私の経験に基づいてまとめてみたいと思います。
分量が多くなりそうですので、何回かに分けて掲載いたします。
以下はすべて私的な見解です。
何より大切なことは、主治医の先生と良好な関係を保ち、充分話し合いながら方針を決めることだと思います。
さて、愛犬が呼吸困難などの症状で動物病院を受診。
胸を穿刺したらミルクのような液体が採取されました。
「乳び胸の疑いが強いです」
あなたの主治医はおっしゃいます。
そこから出発しようと思います。
<乳び胸とは>
闘うためには、相手が何者か知ることが大切ですね。
乳び胸。。。
自分のペットがその病気にでもならない限り、生涯聞くことのない名前かもしれません。
乳び胸は、胸管というリンパ管の本管から乳びという脂肪を多く含んだリンパ液が漏れだし、肺や心臓の周り(胸腔)に貯まる病気です。
リンパ系は非常に複雑な器官で、簡潔に説明するのは困難です。
ここでは胸管の役割だけを述べます。
腸の細胞から吸収された脂肪分は、一部を除き、毛細血管(血液のなかに)ではなくリンパ管に入ります。
そこはアミノ酸や糖分と違うところです。
お腹のリンパ管のは合流を繰り返し、徐々に太くなり、みぞおちの奥で乳び槽という本管に到達します。
静脈の本管が大静脈であることと対照して考えると分かりやすいかと思います。
乳び槽は胸管とつながっていて、脂肪を多く含んだリンパ液(乳び)はお腹から胸の方向に流れ、最後は左の鎖骨の下にある静脈と合流して血液の中に混ざります。
つまり胸管は、腸で吸収された脂肪分が静脈に入るまでの通り道といえます。
胸管から、何らかの原因で乳びが漏れだしてしまった病態が乳び胸です。
胸管は犬では直径2mmくらいで、とても繊細で壁の薄い管です。
(ご興味のある方は11月8日のブログに手術時の胸管の写真があります。私にとってはあまりにつらく、とても再び見ることはできませんが)
縫ったり繋いだりするのは極めて困難で、手術する場合も扱いが難しい器官です。
<症状>
症状は、胸にたまった乳びによって肺や心臓が圧迫されるためにおこります。
慢性期には、栄養分の喪失による症状も出現します。
歩くと苦しそう、息切れがする、むせやすい、咳がでる、食欲がおちる、元気がない、舌の色が紫がかってくる(低酸素血症)、体重減少。
これらがこの病気になったワンちゃんには見られます。
ミューは救急で運ばれる頃、食欲低下以外の全てがあてはまりました。
(食いしん坊でした)
生涯一度も食事を残さなかったのは、彼女の勲章です、笑。
つづく.....
当初の深い悲しみからは、何とか逃れることができました。
代わって頭をもたげてきた感情は、悔しさや救えなかった自分への怒りです。
この種の苦しみは、当分私の心を離れないような気がします。
ミューのことをブログに載せるようになってから、乳び胸をキーワードに、毎日多くの方が訪れてくださいます。
乳び胸の家族を持ち、きっと苦しんでいる方でしょう。
一つでも多くの命が、この憎き疾患から救われることを願ってやみません。
甚だ微力ですが、犬の乳び胸の診断と治療について、私の経験に基づいてまとめてみたいと思います。
分量が多くなりそうですので、何回かに分けて掲載いたします。
以下はすべて私的な見解です。
何より大切なことは、主治医の先生と良好な関係を保ち、充分話し合いながら方針を決めることだと思います。
さて、愛犬が呼吸困難などの症状で動物病院を受診。
胸を穿刺したらミルクのような液体が採取されました。
「乳び胸の疑いが強いです」
あなたの主治医はおっしゃいます。
そこから出発しようと思います。
<乳び胸とは>
闘うためには、相手が何者か知ることが大切ですね。
乳び胸。。。
自分のペットがその病気にでもならない限り、生涯聞くことのない名前かもしれません。
乳び胸は、胸管というリンパ管の本管から乳びという脂肪を多く含んだリンパ液が漏れだし、肺や心臓の周り(胸腔)に貯まる病気です。
リンパ系は非常に複雑な器官で、簡潔に説明するのは困難です。
ここでは胸管の役割だけを述べます。
腸の細胞から吸収された脂肪分は、一部を除き、毛細血管(血液のなかに)ではなくリンパ管に入ります。
そこはアミノ酸や糖分と違うところです。
お腹のリンパ管のは合流を繰り返し、徐々に太くなり、みぞおちの奥で乳び槽という本管に到達します。
静脈の本管が大静脈であることと対照して考えると分かりやすいかと思います。
乳び槽は胸管とつながっていて、脂肪を多く含んだリンパ液(乳び)はお腹から胸の方向に流れ、最後は左の鎖骨の下にある静脈と合流して血液の中に混ざります。
つまり胸管は、腸で吸収された脂肪分が静脈に入るまでの通り道といえます。
胸管から、何らかの原因で乳びが漏れだしてしまった病態が乳び胸です。
胸管は犬では直径2mmくらいで、とても繊細で壁の薄い管です。
(ご興味のある方は11月8日のブログに手術時の胸管の写真があります。私にとってはあまりにつらく、とても再び見ることはできませんが)
縫ったり繋いだりするのは極めて困難で、手術する場合も扱いが難しい器官です。
<症状>
症状は、胸にたまった乳びによって肺や心臓が圧迫されるためにおこります。
慢性期には、栄養分の喪失による症状も出現します。
歩くと苦しそう、息切れがする、むせやすい、咳がでる、食欲がおちる、元気がない、舌の色が紫がかってくる(低酸素血症)、体重減少。
これらがこの病気になったワンちゃんには見られます。
ミューは救急で運ばれる頃、食欲低下以外の全てがあてはまりました。
(食いしん坊でした)
生涯一度も食事を残さなかったのは、彼女の勲章です、笑。
つづく.....
by musignytheo
| 2009-11-28 16:55
| chylothorax
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