カテゴリ:art( 6 )

" Jujin "

 汐留に壁画がかざられてから、岡本太郎ブームがつづいてるそうです。
 本屋にも著作が平積みされています。

 近所の公園に、岡本太郎の「樹人」があります。
 これは4月に撮った写真です。
 もう何年も前から、この作品について考えあぐねていました。
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 樹をモチーフとしているのは明らかなのですが、幹が存在しません。
 中心はなく、はじまりもなく、終わりもない。
 潤沢に流れてひろがり、反転して入り乱れ、また秩序を得て進む。
 しかし気づくと視点は見覚えのある造形に引き戻されて収束し、そこにどこまでも存在の核心にせまってゆくような聖性を見いだします。
 この視点を翻弄する確信的な「かたち」の正体は何でしょう。
 それは官能であるかもしれませんし、呪術的な女の業かもしれません。人の生の叡智であり、狂気であるかもしれません。
 躍動的で肉感的であるのに、対峙しているとゾッと背筋をひややかな神秘が流れていくのです。
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「私は人間のノーブレスというのはいつでも、瞬間に死に正対しているところに輝くとしか考えられない」
 この作品を前にすると、太郎の言葉がふと浮かんでくるのです。
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by musignytheo | 2011-05-30 19:58 | art | Trackback | Comments(0)

A Christmas Memory...Capote

時間をおよそ意のままにつかい尽くせられる。
今年はそれほど贅沢な一年でした。
でもしたことといえば、馬に乗った、庭に手をくわえたー夏以降はずいぶんがっかりさせられたのですがーそれに読書した、そのくらいなのです。
読書といえば、私の前に登場した作家は、数えてはいませんが三十人はくだらないかも。
読んだ小説はその数の二三倍は下まわらないでしょう。

そんな読書三昧だった私の今年のナンバーワンが、この小説です。
最初村上春樹訳で読んで心うごかされ、原本をとりよせ読みはじめ、あまりにいいので慈しむようにじっくりと言葉を辿りました。
ペーパーバックだけでなく、クリスマスを前にその絵本まで手にとってしまいました、笑。
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訳者の村上さんも指摘していますが、イノセンスということがこの作品の主題の一つだと思います。
主人公の少年のイノセンスの源は、なつかしい田舎町の自然であり古くて広い家やその家具であり愛犬であり老婆になっても幼年の心をもったパートナーでしょう。
ここで言う「なつかしさ」は、作家となってこの小説を綴ったカポーティが過去に経験したことを「なつかしい」と思う、という意味合いとは少し違います。
少年にとってもすでになつかしかったはずの身のまわりの美しさを意味するものです。

坂口安吾は「風と光と二十の私と」に書いています。
『雨の日は雨の一粒一粒の中にも、あらしの日は狂い叫ぶその音の中にも私はなつかしい命を見つめることができた。樹々の葉にも、鳥にも、虫にも、そしてあの流れる雲にも私は常に私の心と語り合う親しい命を感じつづけていた。』
こういう「なつかしさ」なんでしょう。
つまり子供のイノセンスにさえ染みいるようななつかしさであって、過去の回復を祈るようなものではない。
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イノセンスをQueenieが掘った穴の中へ、そして心臓の形の糸の切れた凧にのせて天上へと葬り去り、少年は大人の世界に呑みこまれてゆきます。
そこではなつかしさを愛する心などやすやすと踏みしだかれ、妥協と偽善を強いられるのです。


私が馬に乗り動物と過ごし自然に向かうのは、「なつかしさ」を肌で感じる心をとりもどしたいからかも知れません。


後半、老婆がはっと気づいたかのように叫ぶ場面があります。

"My, how foolish I am!"....."I've always thought a body would have to be sick and dying before they saw the Load. And I imagined that when He came it would be like looking at the Baptist window: pretty as colored glass with the sun pouring through, such a shine you don't know it's getting dark. And it's been a comfort: to think of that shine taking away all the spooky feeling. But I'll wager it never happenes. I'll wager at the very end a body realizes the Lord has already shown Himself. That things they are"....."just what they've always seen, was seeing Him. As for me, I could leave the world with today in my eyes."

「なつかしさ」の本質を示唆する言葉だと思います。
キリスト教的なところを排除すれば、日本人古来の世界観と通じるものを感じ興味深いです。

生まれながらに感じる「なつかしさ」の由来をたどること。
それは音楽や演劇や美術の活動の中にも見いだせます。
人が求めつづける芸術の真理の一つであるような気がするのですが、さて?

クリスマス・イヴに、「クリスマスの思い出」から思いをめぐらせてみました。
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by musignytheo | 2010-12-24 21:23 | art | Trackback | Comments(0)

Mutsu-san

Nがムツさんの講演会に行ってきました。
私は残念ながら、仕事が外せませんでした。

  「ムツゴロウの75 seventy-five」 ~地球まるごと食べて究めて~

という演題だったようですが、ことばは縦横無尽に駆けまわり、ひと所にとどまらなかったようです。
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残念ながらまだお会いしたことはないのですが、著作を読みこみ絵画の作品などを鑑賞させていただくと、マスコミがつくりあげた人物像とはかなり異なったムツさんが浮かび私の心を捉えています。

以前ブログに書いていらっしゃいましたが、若い頃書痙に苦しんで「一字書くのにも痛みで涙がこぼれた」経験をお持ちのよう。
好奇心が先行し笑顔と興味で突き進んでゆくだけ、といった映像がよく流れましたが、繊細な心をもち人知れず努力し苦悩していなければ、そのような病気にはなり得ません。

一つのことに長けた人、一つのことを極める方はいます。
浅く広く、数多の分野に目が利く人もいます。
しかしムツさんのように、たくさんのそれぞれが特に関連のない分野においてすべて、その真理を本質を究めてしまう方は極めてめずらしい、いや、ある意味においては空前絶後な気もします。
人間のアクティビティ、動物の命の力、地球のあり方宇宙のあり様のすべてに類い稀な深い愛情と興味をもっていらっしゃる。
一つにとどまることなんてあり得ない。
おまけに興味が動き始めると、ご自分の健康とか命を全くかえりみなくなる。

自然は、うぬぼれのない真摯な心で身をかけて学ぼうとする者にしかその法則を明さないとしたら、この世でムツさんしか知らない真実も多いはず。
もっと読みたいし、もっと訊きたい!
人類の貴重な財産として、できるかぎりその英知の記録を残してほしいと思います。

(ムツさんをご存知の方なら、以上が誇張ではないとわかってくださるはずです。
しかしムツさんの頭の中にある壮大な世界に比べて、最近あまりにも著作が少な過ぎます。
「人という動物と分かりあう」のような思考の過程や心の動きが分かる本を期待しています!)
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by musignytheo | 2010-12-02 19:44 | art | Trackback | Comments(2)

Piano concert

先週の土曜日。
夕方からピアニストの小林真人さんのコンサートが、滝沢牧場で開かれました。

暑かった夏も終わり、野辺山高原の秋はぐっと深まってきた様子です。
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夕暮れ時は、10度くらいしかありませんでした。
寒いです。。。
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オグラは丸馬場でフリーになっていました。
ポールを噛んで遊んじゃダメだよ〜!
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山羊たちは、夕ご飯かな?
とっても忙しそうでした。
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さて、コンサートの模様は当然撮影しませんでしたが、なごやかでアットホームな雰囲気のものでした。
小林さんは17歳でピアノをはじめられたとのこと。
自曲の他、リクエストに応えて何曲も弾いて下さいましたが、ピアノを心から愛していらっしゃることがつたわってきました。
アドリブやアレンジの方法も、常に様々な可能性を試み考えていらっしゃらないと、あのような即興はできないんだろうなと思いました。
それにしても韓流スターのように優美な彼。
会場の女性たちの心をしっかりとらえてしまったなと、彼女たちの表情でわかりました。
未発売の最新アルバムが、牧場スタッフの計らいで皆に無料で配られました。
今後のご活躍を期待しております!
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by musignytheo | 2010-10-20 20:24 | art | Trackback | Comments(0)

Félix Thiollier

フェリックス・ティオリエ展に行ってきました。
このところ Émile Zola の Les Rougon-Macquart にはまっているので、ちょうど興味深くはいりこめました。
生の力強さ生々しさを、百年の時間をへだてても臨場感豊かに再現する力を有した写真なのですが、同時に静謐な美しさも具えています。
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晩年のオートクロームの写真も展示されていましたが、急に色を見せられると何か露骨な感じがしました。
モノクロって、なかなかいいなと思った鑑賞でした。
そこでちょっと真似してみようなどと、変な気を起こすのが凡人です。

白いパンジー。
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グラハム・トーマス。
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ヴァリエガータ・ディ・ボローニャ。
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ボローニャをセピアで。
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by musignytheo | 2010-09-17 19:44 | art | Trackback | Comments(0)

Nezu Memorial Museum

実家の本棚に「甲州財閥」という本があった。
父の本だろうが、読んでいるところを見た記憶はない。
表紙の大判小判の写真は子供の私の眼にグロテスクに映った。
その印象が長く残り,手にとることはなかった。
棚の隅に埃っぽく放置されているのを折にふれ認めていた。

根津記念館の屋敷と庭をテレビで見て、さっそく訪れた。
長屋門前の水路は,堀を想わせる。
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この長屋門は、屋敷を構成する付属屋で最大。
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橋を渡って入るというのは,なかなか趣がある。
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旧主屋。
雪と梅のはかなさが、造形のうつくしさをひき立てる。
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大磯の松。
昭和八年に大磯から移された。
完全無欠な形態。
荘厳な佇まい。
庭の中央に存在感を表しているのは分かるが,背景の壁とその支えがむき出しなのはどうか。
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古い節句の人形。
この肌の透明感は、高分子では再現できまい。
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裏から見た姿にも、造形美に抜かりがない。
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雪が溶け瓦から採光窓の庇に水滴がはねて飛ぶ。
あたりの雪で反射した白い光が、その一つひとつを慈しむように輝かせ、うつくしかった。
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鉄道王としてだけでなく、近代数寄者としても名を馳せた根津嘉一郎。
きっと青山の根津美術館は面白いのだろう。
興味がわいてきた。
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by musignytheo | 2010-03-12 20:23 | art | Trackback | Comments(0)


Wine and Roses, Dalmatian and Labrador.


by musignytheo

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